福岡訴訟判決速報

福岡訴訟判決について

平成18年8月30日、福岡地方裁判所において判決が言い渡されました。6月21日の大阪地裁判決に引き続き、薬害肝炎訴訟での2件目の判決です。内容は、九州第1次訴訟原告18名中11名の損害賠償請求を認容し(認容総額1億6830万円)、国及び企業の責任を明確に認めました。

判決時の様子(写真をクリックすると拡大画像が表示されます。)


以下、判決内容を説明いたします。

本件で問題になっていたのは、フィブリノゲン製剤、血液凝固第\因子製剤(クリスマシン)の2つの製剤です。

まずフィブリノゲン製剤について、本判決は、遅くとも1980(昭和55)年11月以降について、国及び企業の法的責任を認めました。

我々は、そもそもフィブリノゲン製剤の1964(昭和39)年の製造・販売承認自体が違法であった、という主張をしていました。残念ながらこの点について本判決は、「フィブリノゲン製剤の承認申請資料は、当時国自身が示していた医薬品製造指針が要求した水準に満たない」としつつも、結果として違法はなかったと判断しました。

しかし本判決は、その後、1977(昭和52)年、アメリカにおいて、FDA(米国食品医薬品局)がフィブリノゲン製剤に有用性が認められないとして承認を取り消し、翌78(昭和53)年1月、この決定が公示されたことを受け、我が国でもフィブリノゲン製剤の有用性について調査・検討を行わなければならなかったとしました。そして、当時既にフィブリノゲン製剤の後天性疾患に対する有効性に疑義が生じていたこと、肝炎に感染する危険性が高かったことなどを考えれば、この時点で調査・検討されていれば、後天性疾患に対する有用性が認められないと判断された可能性が高いと判断しました。その上で本判決は、この調査・検討にはある程度の期間が必要になると考えられるところ、1978年1月以降、原告の中で最初に投与を受けた時期が1980(昭和55)年11月であることに着目し、この間2年10か月もあるから、それまでには検討し有用性を判断することができていたはずとして、遅くとも1980(昭和55)年11月以降については責任がある、と判断したのです(したがって、1980年11月以前についても被告らの責任が認められる余地を残しています。)。

その他、輸血と併用して投与された原告についての因果関係の問題、投与から20年以上が経過している原告についての除斥期間の問題など、国家賠償において常に原告側に大きな壁となってきた問題についても、原告の主張を受け入れ、被告らの主張を全て排斥しました。

他方、クリスマシンについては、後天性疾患について有用性が認められると判断し、クリスマシンを投与された原告4名全員の請求を棄却しました。

以上の本判決に対する原告団・弁護団の評価については、判決日に原告団・弁護団声明を発表していますので、詳細はそちらをご参照ください。
->薬害肝炎訴訟「声明」

簡単に述べますと、フィブリノゲン製剤については、被告ら、特に国の怠慢を厳しく断罪したものであって、基本的にこれを高く評価することができると考えます。

しかし、クリスマシンについては、同製剤承認時には「後天性第\因子欠乏症に有効であり、かつ有用性があると認めるには疑問があったというべきである」とまで認定しておきながら、結果として被告らの責任を認めなかったものであり、明らかな誤りを犯しています。本判決によっても、上記のとおり、承認自体に問題があったことが示されているわけですから、クリスマシンにおける被害者も、フィブリノゲン製剤におけるそれと同じく、早急な被害回復が図られるべきです。

本判決は、予防接種B型肝炎最高裁判決、6月21日薬害肝炎訴訟大阪地裁判決に引き続き、肝炎の問題は国に責任があり、国が解決すべき問題であることを示したものです。  われわれは、本判決を受けて、国の責任を前提とする全ウイルス性肝炎患者の被害回復につながる全面解決を早期に実現するよう全力を傾注する所存です。皆様にも、本件の全面解決まで、これまで以上のご理解とご支援をお願いしたいと思います。