平成19年3月23日、東京地方裁判所において、薬害肝炎訴訟の判決が言渡されました。昨年6月の大阪判決、8月の福岡判決に続く、全国3件目の判決です。内容は、東京第一次訴訟原告21名中13名の損害賠償請求を認容し(認容総額2億5960万円)、国と企業の責任を明確に認めました。すなわち、東京判決は、国と企業に対する三度目の断罪を言い渡したのです。
また、東京判決では、大阪判決・福岡判決が認めなかった第IX因子製剤の企業に対する損害賠償責任も新たに認めました。
このように、東京判決もまた国・企業の損害賠償責任をさらに踏み込んで認めたと評価できます。(本判決に対する原告団・弁護団の声明はこちら)
以下、本判決の内容について、説明いたします。
第1に、裁判所は、C型肝炎・非A非B型肝炎が重篤な疾患であることを認めました。
本判決は、「非A非B型肝炎は、当時において、専門家の間では進行性の疾患であり、かなりの率でキャリア化し、相当数が慢性肝炎となり、この中から一部は肝硬変に進展し得るものとされており、医薬品の副作用としては看過し難い疾患であった」「HCV(C型肝炎ウイルス)感染は、薬剤の副作用としては看過し難い疾病に当たる」と述べています。
第2に、フィブリノゲン製剤について、従来の適応となる症例数をはるかに上回る本数が製造されていたことを明確に認定し、「本来の適応以外に止血目的で安易に使用が拡大されていた」と問題点を指摘しました。
また、「医薬品による副作用被害が現実に発生している局面においては、最悪の事態を想定し、被害の拡大防止を最優先した危機管理対応が求められており、国においても自ら積極的に必要な情報を収集、分析、検討し、対策を決定する必要があった」としました。そして、このような必要な情報収集、分析、検討を怠った国の対応について、「薬事法上許容される限度を逸脱し、著しく合理性を欠くものであって、違法と評価せざるを得ない」と判断しました。
さらに、本判決は、国や企業による「適正かつ十分な指示・警告がなされなかったために、医療現場に」、フィブリノゲン製剤の有する「肝炎感染の危険性、さらには非A非B型肝炎の重篤性に関する正しい情報が伝わらず、従来と同様の使用方法が漫然と継続されたことから、本来のフィブリノゲン製剤の使用が必要とされる少数の症例を超えて肝炎感染を拡大させることとなったものと見ることができる。そして、ここに本件薬害の本質がある」と判示しました。
つまり、裁判所は、フィブリノゲン製剤の使用による肝炎感染を「薬害」と断定したのです。
第3に、クリスマシンとPPSB−ニチヤクの2製剤について、本判決は、初めて企業の法的責任を認めました。
企業には、「(1)非A非B型肝炎の発症の危険性が高いこと、(2)非A非B型肝炎が肝硬変に進展し得る重篤な疾患であること、(3)(製剤の)使用は、後天性の血液第IX因子欠乏症のうちビタミンK製剤や新鮮凍結血漿等によっては治療困難な重篤な出血を伴う症例の止血管理に限るべきことを指示警告すべき義務があった」と判断しています。
本判決により、本件各血液製剤によるC型肝炎感染が「薬害」であることは、動かぬものとなり、国が解決すべき問題であることがさらに明確になりました。国は、薬害肝炎問題について、早急に全面解決を図るべく協議を始めるべきです。原告団・弁護団は、国と企業の法的責任を前提とし、不退転の決意をもって、ウイルス性肝炎患者の全面救済につながる施策の実現に向けて全力を尽くしていく所存です。